遺言書の検認手続き
遺言書を発見した場合、相続人であっても、勝手に封を開けることは法律上認められておらず(民法1004条)、家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければなりません。
■検認とは?
検認とは、相続人に遺言書の存在・内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の有無、署名・押印などの遺言の内容を明確にして、偽造・変造がされていないかの確認、またその防止を目的とする手続きです。あくまで偽造・変造等を防ぐ目的であるため、遺言自体の有効性が確認されるわけではありません。また、公正証書遺言は、偽造・変造のおそれがないため、検認の手続は必要ありません。よって、自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合に、検認が必要となります。
検認手続きを経ないで遺言書を開封してしまった場合は、5万以下の過料が科せられる可能性があります。また、勝手に開封してしまっても遺言自体が無効になるわけではありませんが、偽造・変造を疑われてしまうことになります。
■検認手続きの流れ
遺言書の検認は、遺言書の発見者または保管者が、遺言者の最後の所在地を管轄する家庭裁判所に申し立てをすることにより、行います。
検認に必要なものは、①遺言書、②検認の申立書(家事審判申立書、当事者目録)、③遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本、④相続人全員の戸籍謄本、⑤連絡用の郵便切手、です。②の申立書については、用紙と記載事項が多いため、事前に裁判所のホームページからダウンロードし、記載しておくことをお勧めします。
上記のものを用意したうえで、家庭裁判所に検認の申し立てをします。そして、1週間~1か月後に、家庭裁判所から検認を行う日(検認期日)を指定する「検認期日通知書」が届きます。検認期日には、相続人全員が出席する必要はありませんが、申立人は全員出席する必要があります。申立人は、検認期日に、遺言書・印鑑・その他裁判所に指示されたものを持参し、遺言書は出席した相続人立会いのもと、開封・検認されます。そして、検認手続きがされた遺言書には検認済証明書がつけられ、その遺言書は相続手続きに用いることができるようになります。
上記の通り、検認手続きには1か月以上かかります。検認手続きを理由に、相続放棄(3か月)や相続税の申告期限(10か月)が延長されることはないため、遺言書を発見したり、遺言書の存在を知った場合は、速やかに検認手続きを開始しましょう。
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