相続人の中に認知症の人がいる場合の相続手続きの進め方
親族の誰かが死亡した場合、その死亡時から相続が生じます(民法882条、896条)。
相続とは、被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で同人に帰属していた一切の権利義務が相続人に包括的に承継されることをいいます。
相続が生じた場合、遺言書によって遺産分割の仕方が指定(908条)されていない場合には、相続人全員で行われる遺産分割協議を経て、遺産を分割することとなります。
同手続きでは、相続分ごとに遺産を分割していくことになります。
もっとも、相続人の中に認知症の人がいる場合には、上記のような相続手続きにおいて、特に注意するべきことがあります。
このページでは、相続人の中に認知症の人がいる場合の相続手続きの進め方についてご紹介します。
相続人に認知症の人がいる場合の相続手続きの進め方
遺産分割協議は、相続人全員で行うことが求められ、一人でも足りない場合には無効となります。
また、遺産分割協議の同意を行う能力が全員に備わっていることが必要です。
ここでいう同意を行う能力として、「意思能力」や「行為能力」が求められます。
認知症の人には、意思能力や行為能力が欠けている場合があるため、代理人を立てる必要があり、これを立てずに遺産分割協議がまとまっても、無効となってしまいます。
そのため、相続人の中に認知症の人がおり、同人に適切な代理人がいない場合には、遺産分割協議に先立って、代理人を立てる手続きを経る必要があります。
認知症の相続人が、自身が認知症になる前に代理人を立てていた場合には、その者で足りますが、いない場合には、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。
申立ての内容は、認知症である相続人の意思能力の状態によって異なりますが、通常は「事理を弁識する能力を欠く常況にある」(7条)と判断されることが多いため、申立書や申立ての手数料などを提出・納付したうえで、「後見」開始の審判を申し立てることになります。
同審判において、成年被後見人と判断されれば、成年後見人が付されます(8条)。
この者が、成年被後見人(認知症の相続人)の代理人として、相続人に代わって、遺産分割協議に参加することとなります。
代理人が参加する遺産分割協議において、合意がまとまった場合には、その合意内容通りの遺産分割協議書を作成して、相続人および当該代理人全員が署名押印をします。
同書面は、遺産に含まれている不動産の相続登記手続き等に用います。
合意がまとまらなかった場合には、相続人の申立てにより遺産分割調停が行われ、ここでもまとまらなかった場合には、遺産分割審判に移行します。
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以上のように、遺産分割に際しては、相続人全員の合意が必要になりますが、認知症の人が相続人にいる場合には、これに加えて、成年後見人を立てる手続きを行う必要が生じます。
そのため、遺産分割の成立まで時間がかかってしまう、あるいは、一度成立した遺産分割協議が無効になってしまう場合もあるため、相続人に認知症の人がいないかどうか確認して、所定の手続きを踏むことが重要となります。
相続は突然起こるもので、万全な準備ができていない方も多いでしょう。
相続に関してご不明点があれば、専門家にご相談することをお勧めします。
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